耐震基準の「2000年基準」はマンションに関係あるか|基礎知識や耐震基準を確認する方法、注意点も解説
「耐震基準の”2000年基準”はマンションに関係ある?」と疑問を持つ方は多くいらっしゃいます。
耐震基準は建物の安全に関わる重要な指標なので、マンションを購入する前に「2000年基準」をはじめとする耐震基準について、理解を深めておくことが大切です。
今回は、全国で74,404件以上のリフォーム実績がある土屋ホームトピアが、耐震基準の「2000年基準」について、以下の項目をわかりやすく解説します。
このコラムのポイント |
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この記事を読むと、耐震性の高いマンションを選ぶためのヒントを得られるので、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
耐震基準の「2000年基準」はマンションに関係あるか
結論からお伝えすると、耐震基準の「2000年基準」は、木造マンション以外のマンションには関係ありません。
ここでは、以下の点からマンションの耐震基準・耐震性を解説します。
- 耐震基準「2000年基準」は木造住宅に適用される
- 耐震性を含めて2000年以降のマンションは基本性能が高い傾向にある
耐震基準の「2000年基準」に関する疑問を解消しましょう。
耐震基準の「2000年基準」は木造住宅に適用される
「2000年基準」は木造住宅に関する法改正によって定められた耐震基準で、木造マンション以外のマンションには関係ありません。
木造マンション以外のマンション建築時には、建築年によって「2000年基準」以前の「旧耐震基準」「新耐震基準」どちらかが適用されています。
※各耐震基準の違いを、のちほど「旧耐震基準」「新耐震基準」「2000年基準」の違いの章で解説します。
「2000年基準」の概要は以下のとおりで、木造住宅の建築時に満たすべき耐震性能に、以下の条件が加えられました。
- 地盤に応じた基礎の設計をする
- 接合部に金物を取り付ける
- バランスよく耐力壁※を配置する
※「耐力壁」とは、垂直・水平方向の力に抵抗して建物を支える壁のことです。
耐震性を含めて2000年以降のマンションは基本性能が高い傾向にある
耐震基準の改正ではありませんが、2000年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品格法)」が施行されたことから、2000年以降のマンションは耐震性を含む基本性能が高い傾向にあります。
また品格法では、耐震性の指標となる「耐震等級」が設けられました。
耐震等級は以下3段階に分かれており、数字が大きいほど耐震性が高いことをあらわしています。
耐震等級 | 内容 |
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耐震等級1 | 建築基準法に定められた最低限の耐震性能をクリアしている |
耐震等級2 | 耐震等級1の1.25倍の耐震強度 |
耐震等級3 | 耐震等級1の1.5倍の耐震強度 |
耐震等級2・3に取得義務はありませんが、品格法が施行された2000年以降は耐震等級を意識した物件が増えていると考えられます。
加えて、品格法では10年間の「瑕疵(かし)担保責任※」が義務化されています。
※「瑕疵担保責任」とは、建物などの売買物件に一定の不具合や欠陥がある場合、売主が責任を負うことです。
建物の売り主が、瑕疵担保責任の履行が必要ないよう(欠陥の補修などが発生しないよう)に施工をするため、結果的に物件の基本性能が高まっています。
中古マンションの購入を検討中の方は、土屋ホームトピアにお問い合わせください。
お客さま専属のチーム体制で、物件探しから施工・アフターサービスまで、ワンストップで対応いたします。
※当社はしつこい営業を一切行っておりません。ご安心ください。
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耐震基準・構造の基礎知識
知っておきたい耐震基準・構造の基礎知識を解説します。
- 耐震基準とは
- 「旧耐震基準」「新耐震基準」「2000年基準」の違い
- 「耐震」「制震」「免震」の違い
購入物件の候補を決める前に、耐震基準・構造について理解を深めましょう。
耐震基準とは
「耐震基準」とは、建築基準法で定められた耐震性能の基準です。
耐震基準は過去の大地震の経験をふまえて何度も見直し・法改正が実施されていて、例えば1978年に発生した「宮城県沖地震(震度5)」をきっかけに、「新耐震基準」が制定されました。
なお、耐震基準は、建物だけではなく建物内の人命を守ることも目的としています。
「旧耐震基準」「新耐震基準」「2000年基準」の違い
「旧耐震基準」「新耐震基準」「2000年基準」の違いは、以下のとおりです。
種類 | 内容 |
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旧耐震基準 | 震度5強程度の揺れでも建物が倒壊しない 【建築確認の申請日】 1981年(昭和56年)5月31日以前 |
新耐震基準 | 震度6強〜7程度の大規模地震でも建物が倒壊しない 【建築確認の申請日】 1981年(昭和56年)6月1日以降 |
2000年基準 | 新耐震基準をさらに強化した耐震基準で、木造住宅に適用される 【建築確認の申請日】 2000年(平成12年)6月1日以降 |
耐震基準を判断する基準は「建築確認※の申請日」です。
※「建築確認」とは、住宅を新築・一定規模以上の増改築をする際に、設計図などを専門機関に提出して「施工内容が建築基準法などの法令に適合するか」の確認を受けるための申請です。
中古マンション購入時に、どの耐震基準に該当する物件なのかを確認する際には注意しましょう。
中古マンションを買うなら築何年を選ぶべきかについて、こちらの記事で確認できます。
〈関連ページ〉中古マンション買うなら築何年|寿命・耐震性・物件価格・リノベ費用を徹底解説
「耐震」「制震」「免震」の違い
「耐震」「制震」「免震」の違いは、以下のとおりです。
種類 | 内容 |
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耐震 | 建物の構造を強くして、地震に耐える |
制震 | 地震の揺れを吸収する装置を取り付けて、地震の揺れを小さくする |
免震 | 建物の基礎と本体の間に免震装置を入れて、揺れにくくする |
「耐震」<「制震」<「免震」の順番で、地震に強い構造となります。
マンションによって異なりますが、「制震」「免震」は、タワーマンションなどの高層マンションで採用されているのが一般的です。
中古マンションの耐震基準を確認する方法
購入検討中の中古マンションがどの耐震基準に該当するかを確認する方法は、以下のとおりです。
- 不動産業者に確認を依頼
- 管理組合に問い合わせ
- 管理会社に問い合わせ
不動産サイトなどで公表されている「建築年月」は「竣工日」で、建築確認の申請日ではない点に注意しましょう。
なお、建築確認の申請日が1981年5月31日以前(築40年以上)の場合は旧耐震基準で建築されていますが、耐震補強リフォームの実施によって新耐震基準に該当している場合もあります。
旧耐震・新耐震・2000年基準の見分け方について、こちらの記事でも確認できます。
〈関連ページ〉耐震基準は築年数で確認|旧耐震・新耐震・2000年基準の違い、2022年税制改正後の住宅ローン控除など解説
中古マンションの購入を検討中の方は、土屋ホームトピアにお問い合わせください。
耐震基準など、法令上の規定に関する不安にも丁寧におこたえいたします。
※当社はしつこい営業を一切行っておりません。ご安心ください。
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中古マンションの耐震性を判断するポイント
中古マンションの耐震性を判断するポイントは、以下のとおりです。
- 修繕履歴・計画をチェックする
- 非常階段などの管理状況を把握する
- ハザードマップも確認する
中古マンションを購入してから後悔しないために、ポイントを踏まえて物件を探しましょう。
修繕履歴・計画をチェックする
中古マンションの購入を検討する際には、不動産会社に「マンションの修繕履歴を確認したい」と伝えて、修繕履歴のコピーなどを入手してもらいましょう。
修繕履歴を入手したら、「修繕計画どおりに修繕が実施されているか」を確認してください。
大規模修繕は、12〜15年に1度の頻度で実施されるのが一般的で、大規模修繕に耐震補強工事が含まれている可能性があります。
また、耐震補強を実施しているマンションであっても、新耐震基準を満たしていないケースがあるため、注意が必要です。
非常階段などの管理状況を把握する
「災害時のスムーズな避難が可能か」を確認するために、マンションの以下の管理状況を把握しましょう。
- 非常階段
- 非常口
- 避難はしご
- エレベーター など
上記はマンションの共用部に該当するため、管理組合が点検・修繕などを実施しています。
マンションの管理状況を把握する方法は、以下のとおりです。
- 不動産会社に確認する
- 内覧時に目視でチェックする
- 管理組合の議事録を閲覧する
マンション設備の管理状況とあわせて、防災用品が備蓄されているかチェックしておくと安心できます。
ハザードマップも確認する
ハザードマップを確認すると、地震を含む災害予測をできます。
- 震度
- 液状化
- 建物被害
- 津波
- 高潮
- 洪水 など
マンション周辺における自然災害のリスクを、トータルで判断することが可能です。
ハザードマップは、自治体や国土交通省のホームページからチェックできます。
中古マンションの耐震基準における注意点
中古マンションの耐震基準における注意点は、以下のとおりです。
- 住宅ローン控除を利用する場合は「新耐震基準」が求められる
- 「旧耐震基準」は大地震で倒壊のリスクがある
それぞれ解説します。
住宅ローン控除を利用する場合は「新耐震基準」が求められる
中古マンションの購入で住宅ローン控除を利用する場合、以下のいずれかをクリアする必要があります。
- 1982年(昭和57年)1月1日以後に建築されている
- マンションが新耐震基準に適合している
※最新の要件は、国税庁のホームページでご確認ください。他にも「床面積50㎡以上」などの適用要件があります。
1981年(昭和56年)5月31日以前の「旧耐震基準」のマンションは、必然的に住宅ローン控除の適用外となるので注意しましょう。
「旧耐震基準」は大地震で倒壊のリスクがある
「旧耐震基準」のマンションは大地震で倒壊のリスクがあるため、念頭に置いて購入することが大切です。
マンションが倒壊しない場合でも、建物の損傷規模が大きくて住めなくなるケースもあります。
「旧耐震基準」のマンションを購入する前には、修繕履歴や共用部の管理状況を確認し、なるべく安全性の高い物件を選びましょう。
旧耐震のマンションが地震で倒壊するリスクを、こちらの記事で解説しています。
〈関連ページ〉旧耐震のマンションが地震で倒壊するリスク|阪神淡路大震災などの事例、倒壊後ローンはどうなるなど解説
マンションのリノベーションのポイントについては、こちらの動画で解説しています。
中古マンションの購入をお考えの方は、土屋ホームトピアにお問い合わせください。
お客様専属のチーム体制で、物件探しから施工・アフターサービスまでワンストップで対応いたします。
※当社はしつこい営業を一切行っておりません。ご安心ください。
※全国各地に拠点がございます。
まとめ
「2000年基準」は木造住宅に適用される基準であるため、木造マンション以外のマンションには関係ありません。
中古マンションを購入する際には、耐震基準に加えて、修繕履歴・修繕計画もあわせて確認しましょう。
今回ご紹介した内容を、マンションの耐震性を判断する際の参考にしていただけると幸いです。