「我が家もそろそろリフォームしたいなぁ・・・」と思っていても、いざとなると何をしていいのか分からない。そんな方々のために、設計・プランナーの立場からリフォーム後のお客様の声を交えて、リフォームを成功させるためのポイントをご紹介します。
リフォームで見た目を綺麗にしただけではもったいないと思いませんか? 長年の生活で身についた習慣を活かしつつ、今まで少し不便に思っていたことを解決して、より生活しやすい空間にする為に動線を計画していきましょう。
目次
3つの動線を考えてみましょう
動線とは住まいの中で人や物が移動する方向や、軌跡を表した線のことをいいます。そして、この動線には大きく分けて3つの種類があります。
① 家事動線
炊事や洗濯、掃除など、家事をする際に人が動く経路のことです。
② プライベート動線
リビングやダイニングから個室、寝室や書斎など、家族が生活するために動く経路です。
③ パブリック動線
お客様を迎えた際に玄関から客間やリビングなど、来客が動くための経路です。
ライフスタイルに合った動線が暮らしやすい住まいをつくります。
逆に動線が考慮されていないと、こんなお悩みが・・・。
① “家事動線”に関するお悩み
朝の忙しい時間に、キッチンでお料理をしながらお洗濯をする。日常よくある風景ですが、お台所と洗濯機のある位置が離れているので行き来が大変・・・。
② “プライベート動線”に関するお悩み
お子様が帰ってきて自分の部屋へ直行。いつ帰ってきて、いつ外出したのかわからない・・・。
③ “パブリック動線”に関するお悩み
トイレに入っていたらお客様がいらっしゃって家族が対応。玄関の直ぐそばにトイレがあるのでお客様が帰るまで外に出にくい・・・。
動線はお住まいの状態、家族それぞれの1日の活動時間・動きによって様々です。一般的にはどのように動線を計画すれば良いのでしょうか?
家族それぞれの動線は?
まずは、家族の皆さんの動線(プライベート動線)を整理してみましょう。
一番混み合う“朝の時間”を想定してそれぞれ皆さんイメージしてみましょう。朝起きて一番先に行く場所はどこですか? トイレ、洗面所、お風呂・・・ 家族でもそれぞれ行動は異なるはずです。
その一人一人の動線をお住まいの平面図(お部屋の間取り図)にそれぞれ、色を変えて書き込んでみましょう。どの部分が混雑しているかはっきりしてきませんか?
次に、お客様が来た時の動線(パブリック動線)を考えてみましょう。ご家族がゆったりくつろげて、さらに、お客様をお迎えしやすいお住まいにするためには、この2つの動線が出来るだけぶつからないように分離することが大切なポイントになります。
動線は短く、回遊型が効率的!
実例を元にお話しましょう。下の図面は第13回 全国大会ジェルコリフォームデザインコンテストで辰巳琢郎賞 を受賞した物件です。
皆さまの中にも料理と洗濯を並行してやる方がいらっしゃるかもしれません。リフォーム前のキッチンは部屋の中央部にあるのですが、入り口は1つで行き止まりになっています。洗濯機のあるパウダールームも同様です。
直線距離としては近い位置にある2つの場所ですが、1度ホールに出なければならないため、扉の数では3つの開け閉めが必要な配置になっていました。行き止まりがあるということは、その分行ったり来たりしなければなりません。その為、動線は長くなってしまいます。
リフォーム後は、キッチンとパウダールームが背中合わせの位置にあり、扉も1つになって動線が短くなっています。ウォークインクローゼットのある主寝室からも出入りができる回遊型となっていて、家事をしている時の動線とプライベート動線が重ならず、また、メイクや着替えの動きにもムダがなくなり、お出かけの準備もスムーズになりました。
整理すると動線計画のポイントは、
- 家事動線・プライベート動線・パブリック動線の3つが重ならないようにする
- 特に家事動線を短くする
- 行き止まりを作らないような回遊型にする
以上の3つになります。これらを考慮したプランをオススメします。
リフォームでは、新しい機能の住設機器を入れて便利にするだけではなく、動線計画もしっかり立てて計画していきたものですね。